七五三と着物

掲載日:2022.11.16  
カテゴリ:コラム  
校舎:ハンス

こんにちは!ハンス舟入校・国泰寺校・緑井校・井口校で理科を担当している北村です!


11月15日といえば…七五三!!

綺麗で豪華な着物や兜を身に纏い、

成長祝いに写真を撮った、

というご家庭も多いのではないでしょうか。


そんな七五三の時に着る着物ですが、

カラフルできらきらしたものや

落ち着いた雰囲気の物等

いろいろな種類のものがありますよね。

実は、同じ着物でも

文化の違いによって

色や柄に大きく違いがあります。


ということで、

今回は着物特集!!

日本伝統の染色方法の一つ、

友禅染めについて語っていこうと思います!

 ① 京友禅


美しく発色した下地の色の上に

豪華に彩られた花や、

有職文様や御所解模様のような

公家や宮中に関連した

繊細にパターン化された

伝統的な図案幾何学模様。


多彩な色彩に加えて

金銀箔や刺繍が多く施されるのは、

三大友禅の中で

最も豪華爛漫と呼ばれる京友禅です。


時はおよそ1700年ごろ。

京都の町人文化である

元禄文化が花咲く時代に生まれました。


貨幣経済が発展した結果、

各地で町人や商人、農民等、

お金に余裕を持った人が生まれました。


生活に余裕が生まれたということは、

娯楽が生まれる。

つまり文化が生まれることになります。


その結果、

浮世絵や人形浄瑠璃等、

様々な娯楽施設を立てていきました。


その意識が

普段から着ている着物にまで向かうことは

自然な流れでしょう。


京都には

天皇や貴族たちが多く住んでいたため、

元々あった

豪奢な特徴を持つ貴族・公家文化と、

町人たちの美意識が融合した結果、

見目麗しく、豪華で

細工の整った京友禅が誕生しました。


特徴的なのは

ぼかしと呼ばれる技法。

鮮やかな色の乗った

中心から外側にかけて描かれる

色のグラデーションは

鮮やかに描かれる

花や花嫁道具を

さらに絵画的に仕上げます。


美しい着物は姫や大奥人に

大層気に入られたそうです。

華やかな衣装は、

見ているだけでも

ついつい感嘆のため息を

ついてしまいそうになりますね!


 ② 加賀友禅



三大友禅の二つ目は加賀友禅。

加賀は、

現在の石川県にあたる場所です。


華やかな色使いに刺繍を施す

豪奢な貴族文化とは裏腹に、

艶やかで落ち着いた色合いで、

主に草花などを

写実的に描かれているのが特徴です。

特に

虫食い、と呼ばれる技法は、

より草花を写実的に描くため、

花や草を虫が食んだ様子も描くという手法です。

また、

京友禅では内側から外側へと

グラデーションを描くのに対し、

加賀友禅では外側から内側へと

グラデーションを描く所も特徴的です。


そんな加賀友禅は

どのようにして生まれたのでしょうか。

それは京友禅が誕生した後のことでした。

加賀藩(現:石川県)に

一人の男が生まれました。

宮崎友禅斎と呼ばれる男は

加賀にて、加賀染めという技術を経た後、

京都へと向かいました。

そこで、先程紹介した京友禅を完成させた後、

晩年は故郷である加賀へと帰郷して、

そこで加賀友禅を完成させたといいます。


京都とは違い、

加賀は前田家の城下町。

江戸と同じく武士が治める国です。

江戸に次ぐ石高を持っており、

江戸幕府からの監視の目を逸らすために

文化に力を入れていた藩です。

全国各地から学者や書物などが集められ、

「加賀は天下の書府なり」

とも称されることも。


そんな加賀の国で起きた文化は

武士が中心の文化。

武士の特徴といえば、

質実剛健。

加賀友禅でよく使われるのは

加賀五彩と呼ばれる、

藍・臙脂(えんじ)・黄土(おうど)・草・古代紫。

これらの落ち着いた色彩は

曇りの多い北陸でよくみられる色。

これらの渋い色が武士の気風と相まって、

落ち着きがありつつ、

優美な印象をもった友禅となりました。


一つの絵として額縁に飾っておきたい、

そんな作品の多い加賀友禅。

花鳥風月を描いた風情のある着物。

これが豪華絢爛な

京友禅を完成させた人と同じとは

驚きですね!


ということは

加賀友禅と京友禅は

ある種、兄弟ともよべる仲かも?

 ③ 江戸友禅



最後に紹介するのは江戸友禅です。

1700年頃、

京都から興った友禅は江戸にわたり、

独自の進化を遂げました。


江戸友禅が最も流行ったのは1800年代前半。

文化の中心が

京都から江戸の町人へと移り変わった時期。

江戸の町人文化である化政文化が

最も花開いた時代です。


色数の多い京友禅、

加賀友禅とは違い、

江戸友禅は、

生地色は単彩であくまでも地味に抑え、

その上にすっきりと

「粋」の表現を追求しているのが特徴です。

一見地味な背景に

明るい色彩でデザインを施す

その上品なコントラストは、

まさに

「粋」
「洒脱」

モチーフが際立つように

たっぷりと余白が用いられる所も特徴です。


また、控えめに施された刺繍も、

豪華さを演出するというよりは、

より一層、

モチーフを際立たせる目的で使用されます。


江戸時代には、

何度も

倹約令や美服禁止令が発令されたことにより、

金糸や色糸を用いた豪華な刺繍や、

金・銀箔を重ねる装飾法が

禁じられました。

そうした技法を使わずに

美しい模様を表す方法が模索される中で

友禅は発展を遂げました。


その結果、

黒地に黒の刺繍を施す。

一見すれば

なんて事のない地味な生地に一針通し、

豪華に、

でも、決して主張が激しくならないように。

品格を保って作られた江戸友禅には

当時の江戸の美意識が

詰め込まれた作品とも言えるでしょう。


いかがだったでしょうか。

ひとえに着物、

といっても様々な種類があるのは、

それぞれの時代の武士や町人、

庶民の美意識に合わせた結果

生まれたものになります。


背景を知れば

なお一層、親心、子供心がくすぐられ、

一緒に着物を選ぶ楽しみが

大きくなるのではないでしょうか。


また、着物を着る機会と言えば、

成人式も挙げられますね。

昔は

七歳で大人とされていました。


二十歳。

大人になったということを

大きく自己認識する瞬間。

自分なりの美意識を着物に求め、

背を押してくれる一着を

探してみるのも一興かもしれないですね。


















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